1. HOME
  2. ブログ
  3. 牛肉の焼き方の基本|赤身・脂・厚みで変わる火入れのコツを焼肉店が解説

牛肉の焼き方の基本|赤身・脂・厚みで変わる火入れのコツを焼肉店が解説

焼くことは、お肉を知ることから始まります。
ただ網に乗せて火を通すのではなく、そのお肉の状態を読み、想像しながら焼く。
それが当店の焼きの基本です。

お肉屋けいすけ三男坊では、通常コースはスタッフがお肉を焼いてご提供しています。お客様にリラックスして食事の流れを楽しんでいただくために、焼きはスタッフが担います。だからこそ、焼く技術と判断力が接客の質に直結します。


結論:焼く前に、そのお肉を知る

焼きで最初にやることは、そのお肉を理解することです。

  • 赤身が強い部位か、脂が強い部位か
  • 厚みはどのくらいか
  • 表面をカリッと仕上げたいのか、しっとり仕上げたいのか
  • 今、中の状態はどうなっているか

この4つを常に頭に置きながら焼くことで、仕上がりは大きく変わります。感覚で焼くのではなく、想像しながら焼く——これが当店の焼きの基本姿勢です。


赤身か、脂か

まず確認するのは、そのお肉の性質です。部位を例で載せますが、意識は部位ではなくそのお肉の具合。同じ牛の部位でもサシの具合が全く違い、切り方を変えているので、当然焼き方も変わります。

赤身が強い部位(ヒレ・ランプ・シンシンなど)は、火を入れすぎると旨みが逃げます。赤身に多く含まれるタンパク質は加熱すると固まりやすいため、表面をしっかり焼き固めて肉汁を閉じ込めつつ、中心にほんのり赤みが残るくらいで仕上げるのが基本です。火入れはカットの厚み次第でかなり変わってきます。

脂が強い部位(カルビ・ザブトン・サーロイン・リブロースなど)は、脂が溶け出すことで甘みと香ばしさが引き出されます。焦がさず丁寧に、脂の溶け具合を見ながら仕上げます。脂は溶け出すことで旨みになりますが、溶けすぎると縮んで食感が悪くなるため、タイミングの見極めが重要です。しかし、脂も落としてカリッと仕上げたいところもあります。


厚みを読む

厚みによって、火の入り方は大きく変わります。薄い肉は短時間で火が通るため、タイミングがシビアです。一方、厚い肉は表面が焼けても中心にはまだ熱が届いていないことが多い。厚みを見て、火加減と時間を調整することが必要です。

厚切りの場合は、両面を焼いてから側面に火を入れる、あるいは一度休ませて余熱を使うなど工夫が必要になります。「焼いては休ませる」を繰り返しながら、中まで丁寧に熱を入れていくのが基本です。


表面と中心、両方を想像する

焼いている間、常に「今、中はどうなっているか」を想像することが大切です。表面の焼き色・肉の縁の色の変化・脂の溶け方・香りの立ち方——これらすべてが中の状態を教えてくれるサインです。目で見て、音で判断する。五感を使って焼くことが、仕上がりの差につながります。

「表面をカリッと仕上げたいのか、しっとり仕上げたいのか、どこまで攻めるか」も、部位によって変わります。迷ったときは、その部位が一番美味しく食べられる状態を聞いて基準にしましょう。


「焼ければ同じ」は絶対にない

面白いことに、同じお肉・同じ道具を使っても、焼き方ひとつで味さえ変わります。

余談ですが、賄いでスタッフにフライパンで厚切り牛タンを焼いてもらうと、最初はほぼ必ず中が生焼けになります。同じ条件・同じ道具なのに、仕上がりはまったく違う。ちゃんと焼けば外はカリッと、中はしっとり、もちろん焦げもない。これが焼きの奥深さです。

長年の経験があるのはもちろんですが、それよりも大切なのは肉の中の状態を常に想像すること。この意識があるかないかで、仕上がりは大きく変わります。難しく感じるかもしれませんが、ちゃんと話を聞いてくれて、同じようにやれば、しっかりと出来るようになります。教えた今までのスタッフはしっかり出来るようになっていますので、ご安心ください。焼きに慣れてきた頃こそ、「美味しく仕上げる」この意識を忘れないでください。


焼きはお客様への最後の仕事

仕入れ・仕込み・カットと積み重ねてきたすべての工程の最後が、焼きです。どれだけ良いお肉でも、焼きで台無しにすることもできるし、焼きで最高の状態にすることもできます。

スタッフが焼くということは、お客様の食体験に責任を持つということです。そのお肉を知り、想像して、丁寧に仕上げる——この意識が、当店の焼きの基本です。


焼く前に、そのお肉を知る。
赤身か脂か・厚みはどうか・中の状態はどうか——これを常に想像しながら焼くことが、当店の焼きの出発点です。

まとめ

  • 焼く前にそのお肉の性質(赤身・脂・厚み)を確認する
  • 表面の仕上がりと中の状態を常に想像しながら焼く
  • 五感を使って状態を判断する
  • 同じお肉・同じ道具でも焼き方で味は変わる
  • 焼きは仕込みから続く最後の仕事という意識を持つ

接客マニュアル初級編
【保存版】和牛の部位を完全解説

+ posts

店主兼料理長|食べログ百名店4年連続選出
東京広尾 お肉屋けいすけ三男坊
肉のカット・焼き・提供までを一貫して行い、
“人生最高の肉体験”をテーマにコースを構築。

関連記事