飛騨牛とは|読み方・定義・安福号の歴史と全共2連覇の実力を焼肉屋が解説
飛騨牛は、岐阜県の豊かな自然が育んだ黒毛和牛のブランドです。
きめ細やかな霜降り・口の中でとろける柔らかさ・芳醇な香りと旨み。全国和牛能力共進会で2大会連続最優秀枝肉賞を受賞した実力は、日本トップクラスの評価を誇ります。この記事では、飛騨牛の読み方・定義・特徴・他の和牛との違いをプロ目線で解説します。
飛騨牛の読み方
飛騨牛の読み方は、食肉になった後は「ひだぎゅう」、食肉になる前の生きた牛は「ひだうし」と使い分けます。一般的には「ひだぎゅう」が広く使われています。
飛騨牛とは
飛騨牛とは、岐阜県内で14ヶ月以上肥育された黒毛和種のうち、日本食肉格付協会による格付において肉質等級3等級以上・歩留等級A又はBのものに与えられるブランド名です。1988年に飛騨牛銘柄推進協議会が設立され、県統一銘柄として確立されました。2023年1月にはGI(地理的表示)登録も受けています。
基準に満たない牛は「飛騨和牛(ひだわぎゅう)」として流通します。年間約1万頭が飛騨牛として認定されており、そのうちA5等級は全体の約32.8%を占めます。最高ランクとされる「最飛び牛」は週に1頭程度という超希少な存在です。
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飛騨牛の定義・認定基準
飛騨牛を名乗るには、以下の条件をすべて満たす必要があります。
- 飼養期間が最も長い場所が岐阜県であること
- 飛騨牛銘柄推進協議会登録農家制度にて認定・登録された生産者により肥育されていること
- 14ヶ月以上肥育された黒毛和種の肉牛であること
- 日本食肉格付協会の牛枝肉格付により肉質等級3・4・5等級、歩留等級A又はBと格付けされたものであること
松阪牛や神戸牛が未経産メス牛限定であるのに対し、飛騨牛は去勢牛・未経産牛どちらも対象です。3等級以上という基準は比較的間口が広く、年間約1万頭という安定した供給量が特徴のひとつです。
飛騨牛の父「安福号」
飛騨牛の歴史を語るとき、欠かせない存在が「安福号(やすふくごう)」です。
1980年に兵庫県美方郡(現・香美町)で生まれた但馬牛の種雄牛で、1981年に岐阜県が県有種雄牛として購入しました。安福号の産子が次々と素晴らしい産肉成績を収め、飛騨牛ブランドの品質向上に絶大な貢献を果たしました。繁殖母牛を含めて約3万9,000頭の子孫を残し、今でも日本各地の優れた肉質を持つ牛のルーツを遡ると、その多くが安福号に辿り着くと言われるほどです。
1993年に死亡しましたが、精子は現在も凍結保存され使用されています。安福号の血を引く「飛騨白清」「白清85の3」「花清国」など数多くの種雄牛が県内で活躍し、飛騨牛ブランドのさらなる発展に貢献しています。
飛騨牛の最大の特徴
① きめ細やかな霜降りととろける食感
飛騨牛の最大の特徴は、きめ細やかな霜降りと口の中でとろけるような食感です。均一に広がるサシ・柔らかな肉質・芳醇な香りが三位一体となった味わいは、「牛肉の芸術品」と評されるほどです。サーロインやリブ芯で食べると特にその特徴が際立ちます。
② 岐阜の豊かな自然環境と「夏山冬里」の飼育スタイル
日本のほぼ中央に位置する岐阜県は、北部に3,000m級の北アルプスの山々が連なり、総面積の大半が森林に覆われています。広大な大地・清らかな水・澄んだ空気・季節の寒暖差と昼夜の気温差——この豊かな自然環境が飛騨牛の育成に最適な条件を整えています。
「夏山冬里(なつやまふゆさと)」と呼ばれる伝統的な飼育スタイルも飛騨牛の特徴のひとつです。5〜10月は山地の牧場でのびのびと過ごし、冬季は里の牛舎で舎飼いする。この季節に応じた飼育が健康的な牛を育てます。
③ 全国和牛能力共進会2大会連続最優秀枝肉賞
2002年に岐阜県で開催された第8回全国和牛能力共進会において、飛騨牛は内閣総理大臣賞・最優秀枝肉賞という最高位を獲得。さらに第9回でも最優秀枝肉賞を受賞し、2大会連続という快挙を達成しています。この実績が飛騨牛を全国的なブランドとして確立させました。
主要ブランド和牛との比較
| ブランド牛 | 産地 | 格付け基準 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 飛騨牛 | 岐阜県 | 3等級以上 | きめ細やかな霜降り・とろける食感・全共2連覇 |
| 松阪牛 | 三重県 | 等級制限なし | 未経産メスのみ。とろける脂と甘い和牛香 |
| 神戸牛 | 兵庫県 | BMS No.6以上 | 但馬牛をルーツに持つ。世界的知名度が高い |
| 宮崎牛 | 宮崎県 | 4等級以上 | 全共4連覇。きめ細やかなサシと極上肉質 |
| 仙台牛 | 宮城県 | A5・B5のみ | 全国唯一の5等級限定。均一な最高品質 |
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おすすめの食べ方
- ステーキ → 霜降りと旨みを直接感じられる。シンプルに塩で食べるのがプロ流
- すき焼き → 飛騨高山の郷土料理としても親しまれる。脂の甘みが割り下に溶け込んで絶品
- しゃぶしゃぶ → とろける脂質を繊細に楽しめる
- 焼肉 → ミディアムレアで仕上げるのが鉄則。強火で焼きすぎない
自宅で楽しむなら
飛騨牛を自宅で楽しむなら、産地直送の取り寄せがおすすめです。
飛騨牛は、岐阜の豊かな自然と「安福号」の血統が生み出すブランド和牛です。
全国和牛能力共進会2連覇の実力・きめ細やかな霜降り・とろける食感。その味わいは一度食べたら忘れられません。
まとめ
- 読み方は食肉が「ひだぎゅう」・生きた牛が「ひだうし」
- 岐阜県内で14ヶ月以上肥育された黒毛和種・肉質等級3等級以上・歩留等級A又はBが条件
- 基準外は「飛騨和牛」として流通・年間約1万頭が飛騨牛に認定・A5は全体の約32.8%
- 「安福号」は1980年生まれの但馬牛の種雄牛・約3万9,000頭の子孫を残した飛騨牛の父
- 日本各地の優れた肉質を持つ牛のルーツを遡ると多くが安福号に辿り着くとまで言われる
- 全国和牛能力共進会で2大会連続最優秀枝肉賞受賞(第8回・第9回)
- 「夏山冬里」の伝統的飼育スタイルで健康的に育てられる
- 2023年1月にGI登録
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店主兼料理長|食べログ百名店4年連続選出
東京広尾 お肉屋けいすけ三男坊
肉のカット・焼き・提供までを一貫して行い、
“人生最高の肉体験”をテーマにコースを構築。
